Ryuのたそがれ奮闘日記 ― これからの生き方―

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zoom RSS もう、時間はいくらも残ってはいない (さくら散る頃に)

<<   作成日時 : 2015/04/09 18:54   >>

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  今年のさくらは、ゆっくりと散った。 それは心にしみるような散り方だった。
 この春は、どういうものか、そろそろ開きかけようというところに、からからに乾いた寒い日がつづいた。
 それでも、一度咲き始めると、花の方で、それを待ちかねたように、つぎつぎに、灯が点っていくように開いていった。
 じつをいうと、ここしばらく、ぼくはさくらの花が、きらいだった。
 白っぽくてその白さに生気がなかった。まるで、新聞紙の上にかき落したフケのように、うす汚かった。
 咲いても、散っても、べつに感慨もなかった。

 それがことしはちがった。花のひとひら一片に、みずみずしさがあった。うす汚れた白さでなくて、
 はじらっているように、ほんのりと色つやがあった。
 ソメイヨシノのも、やまざくらも、やえざくらも、散り急ごうとはしなかった。

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 テレビの天気予報が、この雨でせっかくのさくらも散るでしょう、としたり顔でいったときも、
 さくらは、しっかりと、らんまんと、かがやくばかりに咲きほこっていた。

 それがいじらしかった。
 むかしも今も、一年に一度しか咲かないことは同じでも、むかしはやがてさくらの立っている、
 その地面がほろびていく、なんて、知るはずはなかった。
 だから、さくらは、はなやかに、はなやかに咲いて、はなやかに散っていった。
 それをいさぎよい、とぼくらはいとしんだ。

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 でも今年のさくらは、いさぎよくは散らなかった。春のゆうぐれに、一片二片散ってゆく花びらが、
 ゆっくりゆくんだよ、ゆっくりゆっくりゆくんだよ、と声をかけているようにおもわれた。
 後、何年咲くことができましょうか、せっかく咲いたいまを、できるだけながく、ゆっくりと咲いていとうございます。

 さくらは、そんなふうにおもいきめてらんまんと咲いているようであった。
 ぼくらもおなじだよ。さくらにそういってやりたかった。
 ぼくも、決して、散り急ぐなんてことはするまい、と思っている。
 あと何年でも、何十年でも、生きるだけは生きてゆく。
 しかし、それには、ひとつ気にかかることがあった。ぼくらの立っているこの地面、
 これが、ぼくらよりさきに、ほろんでゆきはしないか。それが気がかりなのである。

 あのローマクラブの報告によると石油は、あと何十年分しかないという。
 アルミも銅も鉛もモリブデンもニッケルも亜鉛も、いろんなものが、あと何十年かたつと
 なくなってしまうのだそうな。

 その何十年というのが、二十年であろうと、五十年であろうと。それはたいしたことではない。
 とにかく、石油なら石油が、いつかは一滴もなくなる日が確実にくるということ、そして
 それはそう遠くないということではないか。
 石油が、ちょっと不足しそうだ、というだけであのさわぎであった。 …………

 
 まだまだ続きますが…

これは「暮らしの手帳」のかっての編集長、花森安治さんの詩(文)である。この本、実は1974年月出版の本である。この本の巻頭言がこの詩であった。この本が何故か今も私の手元にある。下の写真が、現物の本そのものである。
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1974年はちょうど私が社会人になってまもない頃である。オイルショックという初めての経済の打撃を経験した日本の高度成長が、一気に方向を見失いかけた頃だ。

1960年代に公害問題という大きな社会問題を引き起こした日本の産業界は、今度はエネルギー問題という国内のみならず、海外の国々との摩擦に立ち向かわなければならなくなった時である。

初めて、エネルギーが有限であるということを、私達が肌で感じ、そしてそれが絶えた後は、そのまま滅びていくしかないのか?いやそうではないだろう、じゃあどうするんだ! という危機感を詠ったものだ。

そしてそれから40年以上が経過した。その間、私達は多くの新しい技術(創エネ、省エネ)を開発し、環境問題にも取組んできた。
(当時はまだCO2問題とか、オゾン層破壊などという問題はそれほど大きく表面化はしていなかったが)

そしてそれらの問題は、今、あたかも解決されたような錯覚に落ち入っているが、現実はそうではない。エネルギー問題も環境問題も、3.11震災以降 その解決の方向が定まらず、足踏みしている。原発再稼働問題も再生エネルギーの制度問題も、議論はされても明快な結論がでないままだ。多くの利権が複雑にからんでいて、収集がつかない。

もう一度、この詩を読み返し、人類のために、エネルギー問題に正面から取り組まなければならないと、散り行く桜が、そう語っているように思うこの頃である。

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